チラシのこと
- Kai Syoujikimonono
- 2023年3月6日
- 読了時間: 3分
今はもうネットで完結したりしますが、当時学生劇団がチラシを作るのはなかなかの作業でした。

まずはデザイン。僕らの頃にはまだパソコンを持っているやつの方が少なかったのです。いやほんとどうしてたんだろう…(笑)。たぶん、文字の部分は手書きで書いて、印刷屋さんに持ち込んで相談の時に「このフォントで」とお願いしたんだろうと思います。少なくとも僕が関わった公演のチラシはそういう形でした。
例えば、写真がある。または劇団員の描いたイラストがある。と、情報のテキストを持って、ビビりながら印刷所に行くんです。と、それこそ劇団ACT代々お世話になっている印刷所なんでしょうね。「あぁ、あの訳分かってない学生さん来はったわ」ってな感じで「ちょっと待っといて」とか言われて応接室で待ってます。職人さんみたいな人が出て来はって、「この写真は、このここでいい?んで、この文字はここに入れるんやね?」みたいな感じでその場で適当にレイアウト決めてもらって「ハイっ!お願いします!」ってなことだったと思います。だからデザインなんてやってなかったんだ。うん。もちろんそういうことに意識のある人もいたろうし、そういう人がいた世代のチラシはまた違ったでしょうが…。
基本は一色刷りでした。お金節約したいから。無理して二色。フルカラーなんてとんでもなかったし、そもそも自分らでデザインできんのだから、色どう混ぜるとかも指定できるわけもないんです。その点今の学生さんとかは自分でできちゃう分、やらなあかん作業多くて大変かもですね。
で、ここまでが表面の話です。本当に演劇部やってて一番嫌だったと言っても過言でないのがチラシ裏面のスポンサーを集める作業です。
メインは大学近くで学生相手に商売している飲食店。他には書店とか、劇団員のバイト先とか。今、学生劇団のチラシってどんななんでしょうね?…。
僕らの頃は裏面びっしり広告なんです。多分A4のチラシを縦3列、横5行ぐらいに分割して、それで15枠のスポンサー枠を作るんです。理屈は情報誌とかの広告欄と一緒で「京都産業大学演劇部です!今度公演をします!そのチラシの裏面に広告を載せさせてもらいますので、3000円ください!」とかです。これねー。根性いるんですよね…。大概、先輩と二人ぐらいでくみに鳴らされて「この店とこの店まわって、あと適当に近くの店飛び込みでお願いしてみて!」とか言われるんです。「営業」ですよね。こっちはそんな営業とか全然不向きだから役者しようと思ってんのに…(笑)
とはいえですよ。15枠、全部3000円が集まれば45,000円!これはデカかったですよ、当時。
もう毎公演「はいはい、アクトさんね」と言って諦め顔で引き受けてくれるお店もありました。「その代わり晩飯食いにこいよ!」って言われてね。こっちもわかってるんで、稽古終わりにみんなで晩飯食いに行った帰りに「実は今度、公演があって…」って話をしたり。
「うちで打ち上げしてくれるなら2枠やったげるよ」とかいうところも多かったなぁ
正直宣伝効果なんてないし、そんなことはスポンサーになってくださったお店の方もわかってて、「しゃーないなぁ…」というか「またたかりにきやがった…」というか…。彼らにしても「学生相手(メイン)に商売してる以上、そういうもんだ」というような諦めがあったのでしょう。
例えば西洋。ハロウィーンの夜に仮装した子供らが「トリックオアトリート」ってやって来た。と同じ感覚で、神山のフモトのお店の方々はやってくださってたんですきっと。ありがとうございました…。
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